「面接に候補者が来ない…」
「候補者との連絡が急に途絶えてしまった…」
「面接直後の候補者から辞退連絡が届いた…」
採用活動に取り組む中で、どうしても起きてしまう選考辞退(や内定辞退)。
人と組織のマッチングである採用活動に選考辞退は付き物ですが、それは予測不能な天災ではありません。選考辞退が起きる背景に目を凝らすと、選考辞退を引き起こす何かしらの原因が見えてきます。
つまり、ほとんどの選考辞退には明確な原因があり、その原因に合わせた適切な対策をすることで選考辞退を防止することができます。
本稿では、選考辞退を引き起こす主要な3つの原因を解説し、それぞれの原因別の選考辞退の防止策をご紹介します。
目次
選考辞退の3つの原因
1. 自社に対する誤解
候補者が選考辞退する原因の一つは自社に対する誤解です。
「あの会社はブラックらしい」
「あの業界には未来がない」
「あの会社に就職しても手に職がつかない」
このような誤解がもたらされる背景には、自社(や自社が属する業界)に関するネガティブ情報の蔓延があります。
口コミサイトの掲載情報や友人知人のネットワークに流通する噂を鵜呑みにしてしまい、情報の詳細・事実確認をすることなく選考辞退をする。
そんな候補者が多く見受けられます。
2. 自社への志望度の低さ
候補者が選考辞退する原因として最も分かりやすいものは自社への志望度の低さです。
企業側が候補者を相対評価するのと同様に、候補者側も企業を相対評価しています。辞退リスクを抑える観点では、候補者にとって自社が第1志望群に位置づけられるような状況を目指すことが一つの目安になります。
<志望度による辞退リスクの変化>
- 第1志望 :選考辞退リスク低・内定辞退リスク低
- 第1志望群:選考辞退リスク低・内定辞退リスク中
- 第2志望群:選考辞退リスク中・内定辞退リスク大
- 第3志望群:選考辞退リスク大・内定辞退リスク大
3. 自社の面接官に対する悪印象
候補者が選考辞退する原因としてあまり認識されていないものに、自社の面接官に対する悪印象が挙げられます(面接官には人事担当者も含みます)。
候補者が面接官の影響を受けていることは、以下の調査からも明らかです。
<面接時に志望度が下がってしまう瞬間>
・第二新卒(職歴あり)
面接官の態度・話を聞く姿勢が悪かった時:53.9%
圧迫面接を受けた時:37.0%
面接官の性格(口調、テンションなど)が合わなかった時:32.2%
プライベートな事柄など、不適切な質問を受けた時:18.3%
・既卒(職歴なし)
面接官の態度・話を聞く姿勢が悪かった時:70.0%
圧迫面接を受けた時:36.5%
面接官の性格(口調、テンションなど)が合わなかった時:34.7%
プライベートな事柄など、不適切な質問を受けた時:28.2%
3つの原因別!選考辞退の防止策
1. 「自社への誤解」が原因の選考辞退防止ノウハウ
①口コミサイトの不適切投稿対応
企業の都合の良い情報ばかりが発信される求人サイトとの対比で、求職者のための情報サイトとしてのポジションを開拓した口コミサイト。近年では求職者から最も支持される情報ソースになっていると言っても過言ではありません。
しかし、口コミサイトは万能ではありません。口コミサイトの情報源の多くは離職者から寄せられているからです。
求人サイトを「企業の都合の良い情報ばかり発信している」と揶揄するトーンに揃えるならば、口コミサイトは「離職者にとって都合の良い情報ばかり発信している」と言い換えることもできます。
それゆえ、口コミサイトには企業への嫌がらせ目的の情報や根も葉もない情報が少なからず混ざっています。
この状況を踏まえると、企業としては主要な口コミサイトで自社がどのようなことを書かれているのかをチェックして、不適切な投稿にきちんと対応することが重要になります。
<口コミサイトの問い合わせ窓口>
OpenWork/転職会議/en Lighthouse(旧カイシャの評判)/キャリコネ/みん就
②ネガティブイメージを解消する事実情報の発信
就活や転職活動シーンには「●●業界はブラックだ」「●●業界の営業の仕事はきつい」など、特定の業界や仕事に対するネガティブイメージが蔓延しています。
もし、あなたの会社がこれらのネガティブイメージによる選考辞退の影響を受けており、それが誤解であれば、真っ先にやるべきことはネガティブイメージを解消する事実情報の発信です。
例えば、「●●業界の営業の仕事はきつい」というネガティブイメージを解消する場合は「●●業界の営業の仕事はきついかもしれないが、自社は違う」と伝えると良いでしょう。
また、「●●業界の営業の仕事はきつい」というネガティブイメージが正しい場合でも「●●業界の営業の仕事はきついというのは正しいが、その大変さに見合うやりがいがある」とポジティブな側面の情報を伝えることでネガティブイメージを解消することが可能です。
<注意点>
ネガティブイメージを解消する情報は客観的な事実に基づく情報である必要があります。例えば「やりがいがある」という抽象的な情報は「実力主義の評価制度がある」「社員の定着率が高い・勤続年数が長い」といった事実情報に変換して伝えることが重要です。
2. 「自社への志望度の低さ」が原因の選考辞退防止ノウハウ
③応募時に志望動機を問う
応募時に志望動機を問うことで自社への志望度の高い層を選ぶことができます。
志望度の低い層に含まれる記念受験の応募・面接練習目的の応募・持ち駒を増やす目的の応募をスクリーニングすることができ、結果的に選考辞退数を減らすことが可能です。
<注意点>
ストレートに「当社への志望動機をご記入下さい」と問うと当たり障りのない志望動機(他社の志望動機としても通用するようなテンプレ志望動機)を記入される可能性があるため、「当社で将来挑戦したいことをご記入下さい」「当社のIR情報をご覧いただき感じたことをご記入下さい」という具合に問いを工夫してみることをお勧めします。
ライフネット生命のように「重い課題」を出すのも一つの工夫です。
④選考回数を減らす
自社への志望度が低い(志望度が高まっていない)状態の候補者の選考期間が長引くことは選考辞退のリスクを高めます。
その候補者にとって高志望度の企業群の選考が進んでいく過程で、低志望度の自社が足切りに合う可能性があるからです。
選考辞退リスクを下げる観点では、応募から内定までの選考期間を短くすることが効果的です。そして、選考期間は選考回数に大きく依存するので、選考辞退防止の観点では選考回数自体を減らすことが推奨されます。
もちろん、これまで運用してきた選考フローに手を入れることは簡単ではありません。その場合は通常の選考フローはそのままに、高評価者に対してのみ適用する特別な選考フローを新しく設計することをお勧めします。
ちなみに、
- 次回選考は原則として翌週の日程で確定させる
- 選考実施日から選考結果連絡日までの期間を詰める
等、選考スピードを早めることでも選考期間を短くすることができます。
⑤志望度を高めることに繋がる自社情報の提供
面接の場で候補者の志望度を高める働きかけをすることで自社を候補者にとっての第1志望群に食い込ませることが出来れば、選考辞退の防止(内定承諾を引き寄せること)に繋がります。
候補者の志望度を高める働きかけを成功させるには「候補者の志望度が高まる情報」を把握する必要があります。以下にお勧めの質問方法をご紹介します。
<お勧めの質問方法(3Step)>
- 志望度の高い企業名(出来れば2~3社)を聞く
(例)これまでに選考を受けた企業、現在選考中の企業、今後応募を検討されている企業の中で、志望度の高い企業を2~3社教えていただけますでしょうか。企業名を伝えることに抵抗がある場合は「●●業界でこんな事業を展開している会社」とぼかしていただいても構いません。 - 企業選びの軸を聞く
(例)企業選びの軸についてお聞かせいただけますか? - 企業選びの軸に基づいて、志望度が高い根拠を聞く
(例)●●という企業選びの軸の観点で、志望度の高いA社とB社は具体的にどのような点が当てはまるでしょうか?
お勧めの質問方法のポイントはStep3で志望度が高い根拠を聞き出すことにあります。
例えば、「企業選びの軸=自己成長、志望度の高い企業=コンサルティングファーム」と、同じ回答をする候補者がいたとしても志望度が高い根拠には違いがあります。
(例)
- Aさん「実力主義の評価制度」が成長に繋がると考えている
- Bさん「コンサルタントの仕事内容」に成長できるイメージを持っている
そして、志望度が高い根拠は「候補者の志望度が高まる情報」そのものです。
志望度が高い根拠に合わせた自社情報を伝えましょう(Aさんには自社の評価制度情報を、Bさんには自社の仕事内容情報を伝えると良いでしょう)。
3. 「自社の面接官に対する悪印象」が原因の選考辞退防止ノウハウ
⑥面接官トレーニングをする
面接官の役割はビジネスパーソンであれば誰でも即興的にできてしまうイメージがあるかもしれませんが、それは誤解です。
以下の調査結果から、面接の基本知識や心構えを学ぶ事を軽視している企業が多いことをうかがい知ることができます。
<面接で聞かれたことがある不適切とされる質問>
・兄弟姉妹や親族について:25.6%
・両親や保護者の職業:22.7%
・尊敬する人物:11.0%
・子ともができても働き続けるつもりかどうか:7.0%
・両親や保護者の出身地:5.6%
・彼氏・彼女がいるか/結婚の予定があるか:5.0%
・両親や保護者の収入や資産について:1.0%
・政治や政党に関心があるか:0.8%
・宗教を信じているかどうか:0.4%
・上記のようなことを聞かれたことはない:54.1%
参考:2020年卒 マイナビ学生就職モニター調査 6月の活動状況
実に「45.9%」もの学生が面接で不適切とされる質問を聞かれたことがある事実を踏まえると、これは決して他人事ではないことを察していただけると思います。
基本的には、外部の面接官トレーニング研修を導入する事を推奨します。ただ、それが難しい場合は、厚生労働省の「公正な採用選考について」を参考にしながら面接官としての基本的な知識を学ぶ場を設けることをお勧めします。
⑦候補者と相性の良い面接官をアサインする
面接は人(候補者)と人(面接官)とのコミュニケーションである以上は、相性の問題が付きまといます。いかに模範的な面接をしたとしても、面接官と候補者との相性が悪ければ選考辞退のリスクが高まります。
候補者を年齢・性別・性格・志望職種・就業観などの要素で分類し、できるだけ多くの要素が合致する社員を面接官にアサインすることが推奨されます。
(例)
- 新卒採用の選考初期段階では若手社員を優先的に面接官にアサインする
- 候補者のキャリアイメージを体現している社員を面接官にアサインする
- 候補者と類似の性格や個性を持つ社員を面接官にアサインする
まとめ:原因に合った選考辞退の防止策を行いましょう
いかがでしたでしょうか?
今回ご紹介した選考辞退(や内定辞退)の防止策はどれも汎用性の高い施策ですので、網羅的に取り組んでいただくことで一定の効果が期待できます。
ただ、限られた時間を如何に有効活用するかが問われる採用活動では、効率性が重視されるため、原因に合った選考辞退の防止策に優先的にリソースを投下することを推奨します。
ゆえに、自社で選考辞退(や内定辞退)のケースが発生した際は、都度、その原因を分析し、貴社で起きている選考辞退の原因に合わせて、本稿でご紹介した防止策を活用いただれば幸いです。
<選考辞退の原因を分析する方法>
- アンケートの実施
辞退連絡を受けたタイミングで「今後の採用活動の改善に役立てる目的でアンケートに回答いただけないでしょうか」というメッセージのもとに辞退理由を把握するアンケートを実施する
- 口コミサイトやSNS投稿のチェック
辞退連絡を受けたタイミングで辞退者の直近の選考日を確認し、その日の口コミサイトやSNSの投稿を調べる
- 面接の録画データのチェック
辞退連絡を受けたタイミングで辞退者の直近の選考日を確認し、その選考がオンライン面接であった場合は録画データを確認する
HRアナリストで選考辞退の削減を
本稿の締め括りとして、選考辞退防止に役立つサービス、面接に特化したクラウド型人材分析ツール「HRアナリスト」をご紹介します。
HRアナリスト
HRアナリストは、面接に特化したクラウド型人材分析ツールです。現場の面接官の面接力をアップさせ、候補者満足度を上げることで内定辞退や選考辞退を防ぎます。
~母集団に頼った採用の限界を突破する~
採用目標を達成する為にどの企業もまず対策をするのが、求人媒体などの見直しや、媒体の数を増やすことです。
流入数を増やせば採用人数は増えるかもしれませんが、それなりのコストが必要になります。また、本当に入社してほしい人の採用には繋がりません。
HRアナリストではそんな従来の採用手法を変え、候補者満足度を上げることで選考辞退や内定辞退を無くす手法を提案できます。
活用STEP1:アンケートの送付
必要な情報をアップロード(CSVもしくは手動入力)するだけで、候補者にカンタンにアンケートを発行することができます。また、カスタムアンケートを設定することで御社独自のアンケートを冒頭に追加することも可能です。
ダイレクトリクルーティング経由で面談を実施した候補者に、その後の選考に進んでもらうにあたって、実際の面接の前にメールやメッセージツールでアンケートのURLを送付することで簡単に回答してもらうことが可能です。
活用STEP2:候補者の分析(分析シートの発行)
候補者が回答したアンケートを元に8つのタイプに分け、その候補者にあった
「面接に関するアドバイス」
「動機づけのポイント」
を明確にアドバイスいたします(HRアナリストが分析シートを発行します)。
HRアナリストが発行する分析シートには、候補者の満足度を上げながら面接をスムーズに行う手法を記載しています。この分析シートを活用しながら面接を行うことで熟練の面接官と同じような面接が可能になります。
活用STEP3:面接官のアサイン
分析結果をもとに、その候補者に最も適した面接官をアサインすることができます。
※面接官を担当する社員が事前にアンケートに回答する必要があります。
活用STEP4:次の面接官への申し送り
事前に共有したいことなどを次の面接官へ申し送りできます。
・HRアナリストについてのお問い合わせはこちら
>> CONTACT | HRアナリスト (hr-analyst.com)
著:池田信人 編:パーソルキャリア株式会社