活躍する人材を採用するための面接CXとは

2020/12/25

本稿では、活躍する人材を採用するための面接CXという考え方をご紹介します。

目次

1. スキルマッチとカルチャーマッチ

採用選考ではスキルマッチとカルチャーマッチの2軸評価の考え方があります。

スキルマッチとは、候補者の保有するスキルや能力と、企業の求めるスキルや能力の水準とのマッチ度合いを意味し、能力評価をする際に重視されます。

カルチャーマッチとは、候補者の価値観や志向と、企業の組織カルチャーとのマッチ度合いを意味し、志向性評価をする際に重視されます。

このスキルマッチとカルチャーマッチの評価は4つに分けられます。
      
図. スキルマッチ・カルチャーマッチマトリクス

①スキルマッチ×カルチャーマッチ
この評価は、活躍する人材(即戦力で長期的な活躍が期待できる候補者)に付けられる評価です。ほとんどの場合において「選考通過」の判断となります。

②スキルミスマッチ×カルチャーマッチ
この評価は、能力は不足するが志向性はマッチしている候補者に付けられる評価です。即戦力性を重視する中途採用では「選考見送り」の判断となるケースが多い一方で、能力的な伸びしろ(ポテンシャル)が大きい新卒採用では「選考通過」の判断となることが一般的です。

③スキルマッチ×カルチャーミスマッチ
この評価は、即戦力だが志向性の面で合わない懸念がある候補者に付けられる評価です。能力は高いので一時的な活躍は期待できますが、長期的には組織カルチャーの瓦解を招く因子になりかねないので採用は避けるべきであると考えられています。

“成長企業の採用で聞こえてくるのが、肩書きや実績、スキルを優先して採用すると「失敗する」という声だ。「カルチャーが合わなければ(高度人材で知られる)マッキンゼーだろうが飛びつかない」と話すベンチャー企業は複数ある。では何を重視するのか。今、勢いあるベンチャーの採用で見えてきた共通事項は「カルチャー重視」だ”

参考:100億円調達の成長ベンチャーも採用方針を変えた。ハイスキル人材でも断る理由 | Business Insider Japan

④スキルミスマッチ×カルチャーミスマッチ
この評価は、能力不足かつ志向性の面で合わない懸念がある候補者に付けられる評価です。ほとんどの場合において「採用見送り」の判断となります。

2. カルチャーマッチと面接CX

スキルマッチとカルチャーマッチの2軸評価は理論上は優れた評価手法ですが、現実的にはカルチャーマッチの評価が難しく、実用性に乏しい側面があります。

<カルチャーマッチ評価が難しい要因>

自社のカルチャーが言語化されていない(言語化が難しい)
自社のカルチャーが言語化されているが、カルチャーマッチ評価の指標を確立できておらず、評価者の主観によって評価にばらつきが生じてしまう
採用選考時の短い時間のコミュニケーションではカルチャーマッチを評価しきれない(評価できているつもりでも入社後のカルチャーミスマッチが多い)

これらのカルチャーマッチ評価を阻害する要因に上手く対応し、カルチャーマッチ評価の精度を向上を実現する上で、面接CXの考え方が役立ちます。

面接CXという考え方
面接CXとは、面接における候補者体験(CX:Candidate Experience)を意味します。

候補者体験(CX:Candidate Experience)は候補者が企業との接点で得られる体験を意味し、良質な候補者体験(CX)を提供することで候補者の満足度を高めることが応募意欲や志望度にプラスに作用すると言われています(間接的には自社のファン獲得や採用ブランディングにも効果が見込めます)。

そして、この候補者体験(CX)の本質は候補者を中心に物事を捉える点にあり、

面接CXにおけるカルチャーマッチ評価は企業側のカルチャーマッチ評価の精度を高める方向性(この候補者は自社のカルチャーに合うのか?)ではなく、候補者側のカルチャーマッチ評価の精度を高める方向性(この企業のカルチャーは自分に合うのか?)を重視します。

※スキルマッチは企業側の一方向の評価で済みますが、カルチャーマッチは企業側と候補者側の双方向の評価があり、面接CXでは候補者側のカルチャーマッチ評価を支援することで両者のカルチャーマッチ評価の精度を高めることを目指します。

※余談ですが、企業側のカルチャーマッチ評価が難しいのと同様に、候補者側のカルチャーマッチ評価も難しいと言われています。

<候補者側のカルチャーマッチ評価が難しい要因>

自身の価値観や志向が言語化されていない(言語化が難しい)
自身の価値観や志向が言語化されているが、カルチャーマッチ評価の指標を確立できていない
採用選考時の短いコミュニケーションではカルチャーマッチを評価しきれない(評価できているつもりでも入社後のカルチャーミスマッチが多い)

3. 面接CXにおけるカルチャーマッチ評価の実践

Step1. 候補者情報を集める
まず始めにするべきことは、面接の実施タイミングまでにアンケートを実施して、候補者情報(候補者の価値観や志向が読み取れる情報)を集めることです。

また、アンケート回答を打診する際には、

「面接の場では、あなたが当社のカルチャーとの相性を判断できるような情報をできるだけお伝えしたいので、その準備をするためにアンケートに回答をお願いします」という具合に、アンケートの実施目的を丁寧に伝えましょう。

これはアンケート回答率を高める工夫であり、候補者に対する当然の配慮です。

Step2. カルチャーマッチ情報を提供する
次に、面接の場で候補者に対してカルチャーマッチ情報を提供します。カルチャーマッチ情報とは3つの要素で構成される情報です。

候補者情報(Step1で取得した候補者の価値観や志向が読み取れる情報)
候補者情報とマッチする可能性がある企業情報(企業の価値観・組織制度・組織風土・仕事の進め方・社員の価値観などの情報)
候補者情報と企業情報がマッチする理由

例えば、成長志向が強い候補者に対して、個人の裁量が大きい点を伝えるシチュエーションがあった場合、Aさん・Bさんのどちらの説明がカルチャーマッチ情報を提供していると感じるでしょうか?

Aさん「当社は個人の裁量が大きいので、●●●さんのような成長志向の強い方が活躍しやすい環境です」

Bさん「●●●さんは成長志向が強い方だと思います。面接前のアンケートでも『仕事では自分なりの工夫・付加価値を付けることを実践し続けてきた』と回答をされていましたが、当社は個人の裁量が大きいので●●●さんも気持ちよく働けるのではないかと考えています。比較的新しい業界、かつ、事業が成長フェーズにある当社では仕事で未知のケースに挑戦する機会が多くあります。そんな時に頼りになるのは個人の思考力と行動力です。だから、当社には大きな裁量の元に創意工夫をしながら成長をし続ける●●●さんのようなタイプの人がマッチするんです」

比べるまでもなく、カルチャーマッチ情報を提供しているのはBさんです。

Step3. 相互にカルチャーマッチ評価をする
最後は、相互にカルチャーマッチ評価をします。

候補者は、カルチャーマッチ情報(Step2で提供された情報)を参考にすることで、候補者自身と企業との相性(合うか合わないか)を判断しやすくなります。

企業は、カルチャーマッチ情報に対する候補者のリアクションを観察することで、自社と候補者との相性(合うか合わないか)を判断しやすくなります。

終わりに
今、候補者体験(CX)や面接(CX)が注目を浴びつつあります。

背景にあるのは、面接の役割の変化。

候補者を選ぶ(見極め)という旧来の役割から、候補者を選ぶこと(見極め)と候補者から選ばれること(口説き・動機付け)を両立させる役割への変化です。

高度化する面接に対応する上では、面接官一人ひとりの面接スキルを向上させることが重要ですが、誰もが適切な面接をできるような仕組みを用意するという観点で採用ツールを活用する選択肢もあります。

例えば、私たちシングラー社では『HRアナリスト』という採用ツールを提供しています。HRアナリストは簡単なアンケートを実施することで候補者のニーズを収集・分析することができ、

適切な採用設計
面談・面接方針
コミュニケーション方針
志望度を上げるトピック
自社のアピールポイントなどの具体的な採用手法
相性の良い面接官・リクルーターの選出といった相性分析

などの採用戦術を提案、候補者をアトラクト(動機付け)することを支援します。面接CXの実践にも活用できるHRアナリストをご検討いただけますと幸いです。

※HRアナリストを実際に社内で使ってみたい、具体的な使用感を確認したい、使い方の説明を受けたいなど、ご要望がある方はお問い合せください。一両日中にご連絡します。

著:池田信人 編:熊谷豪

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