【企業向け】Web面接の導入・実践ガイド

2020/12/25

Web面接は、地方在住の人材を獲得する手段や多忙な候補者に柔軟に対応する手段として、採用市場に緩やかに浸透しつつありました。

しかし、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響により状況が一変。候補者との対面での接点を持つことが難しくなる中、Web面接の導入と実践を喫緊の課題とする企業が増えてきている状況にあります。

本稿では、これからWeb面接の導入を検討される企業の採用担当者の方々に向けて、Web面接のノウハウをお届けします。

※Web面接、オンライン面接、デジタル面接、ビデオ面接、リモート面接などの様々な名称がありますが、本稿ではこれらの総称をWeb面接とします。

目次

1. Web面接とは

Web面接とはインターネット回線を利用した遠隔(リモート)面接です。

ひと昔前(2000年代初頭まで)はWebで音声・動画のリアルタイム通信を実現するためには高額のWeb会議システムの導入が必要であり、企業内の拠点間会議で利用されるケースが一般的でありました。

それから10年以上の歳月の中でPCやスマートフォンの性能向上とインターネット回線の高速化・大容量化が進み、個人が安価で手軽にWebを介した音声・動画のリアルタイム通信をできるようになった今、Web面接の普及が進んでいる状況があります。

株式会社マイナビの2020年卒の学生を対象にした『2020年卒 マイナビ学生就職モニター調査 6月の活動状況』によると

“面接経験者のうち、WEB面接経験者の割合は20.2%(前年比8.7pt増)”

とあり、急速にWeb面接の普及が進んでいることが分かります。

参考:『2020年卒 マイナビ学生就職モニター調査 6月の活動状況』を発表 (2019.07.17) |マイナビ

2. Web面接の本質的な2つの価値

マッチングの機会損失の防止

地方から都市部への就職(または、Uターン・Iターン就職)において、遠方にある企業は選考の度にお金と時間の負担を強いられると考えて応募を躊躇する候補者は少なくありません。

Web面接は、このようなマッチングの機会損失を防ぐことができる点に価値があります。

対面面接をWeb面接に置き換えることで、選考にかかるお金と時間の負担を軽減することができ、これまで出会えなかった候補者との出会いを作ることが可能になります。

公正公平な面接選考の実現

「この候補者は明らかに通過(または落選)である」と客観的な評価基準による評価ができる場合を除いて、面接選考の合否判定には “面接官の主観的評価” が入り込みます。

例えば、面接官自身の経験則や価値観・好みに合わない候補者を(無意識的に)低く評価してしまい、それが面接選考の合否判定を左右してしまう。

人が人を評価することの難しさを実感させられる例ですが、人生がかかっている候補者の立場で考えると堪ったものではありません。

この “面接官の主観的評価” への依存度を下げる手段としてWeb面接ツールに備わっている録画機能を活用できます。

スポーツ競技のビデオ判定のように、面接官の主観的な評価の根拠をチェックするプロセスを通じて客観的な評価基準をブラッシュアップする。これにより、相対的に “面接官の主観的評価” への依存度を下げることが可能になります。

本来採用すべきでない人材を採用してしまうことのないように、そして何より公正公平な面接選考を実現する観点で、Web面接は大きな価値を秘めています。

※Web面接で録画機能を使用する場合は事前に(面接日程調整の段階などで)候補者の了承を得るようにしましょう。

3. Web面接ツールを選ぶ3つの視点

全社最適の視点

社内に導入されているコミュニケーションツールがあれば、それをWeb面接の用途に活用できないかを優先的に検討しましょう。

また、コミュニケーションツールを初めて導入する場合は、Web面接の用途に加えて、Web会議・リモートワーク・オンライン商談などの用途を含めた全社最適視点でのツール選びを推奨します。

機能最適の視点

Web面接ツールは採用業務の効率化に貢献する様々な機能(面接日程機能・録画面接機能・評価機能など)を備えています。

一見すると、どの機能も魅力的で必要な機能に感じてしまいがちですが、自社の採用課題の解決に資する機能を備えたツールを選ぶことを忘れないようにしましょう。

機能にこだわらなければコストパフォーマンスの観点でWeb会議ツール(Zoom/Google Meet)やビデオチャットツール(Skype)をWeb面接に活用することを推奨します。

候補者最適の視点

Web面接に不慣れな候補者のことを考慮すると専用アプリ不要で簡単に使えるツールや候補者自身が使い慣れた(広く一般に利用されている)ツールを優先的に選ぶことを推奨します。

・代表的なWeb面接ツール比較表

4. Web面接の開始前チェックリスト

Web面接の実施場所
Web面接では候補者の個人情報や自社の機密情報のやり取りが発生するのでプライバシーを保てる環境を選ぶ必要があります。その上で騒音の少ない静かな場所が適しています。この条件を満たす場所としてはオフィスの会議室が最適です。

カメラの位置調整

候補者に圧迫感を与えないためにカメラの位置は面接官の目線の高さに合わせましょう。自身の顔が暗く映る場合は、照明の明るさや座席の位置を調整して明るく映るようにすることで候補者からの印象も良くなります。

音声設定の確認

デバイスのスピーカー設定がミュートになっていないかは最低限確認しましょう。可能であれば事前に音声に問題がないかのテストをしておくことを推奨します。

電源の確保/充電の確認

Web面接中はデバイス(PCやスマートフォン)への負荷が大きく、バッテリーの消耗が激しくなります。デバイスのバッテリー切れが起こらないように電源を確保しておきましょう。電源確保が難しい場合はデバイスの充電を忘れずに。

手書きメモの準備

マイクはキーボードの打鍵音を拾ってしまうケースがあり、候補者の集中の妨げになりかねません。面接中のメモは手書きを推奨します。ただ、マイクの種類やWeb面接ツールの機能次第ではノイズ除去も可能です。事前にテストをした上で音声品質に問題がない場合はキーボードでメモを取っても大丈夫です。

5. Web面接のノウハウ

Web面接における会話のポイント
Web面接には(対面面接と比較して)会話をきちんとできている感触を得づらい難点があります。Web面接の会話をスムーズに運ぶ上では、以下のポイントを押さえることを推奨します。

ゆっくりと大きな声で話す

音声が聞き取りづらい問題は相手側のマイク設定やインターネット回線・デバイスのスペックに根本の原因がありつつも、互いにゆっくりと大きな声で話をすることで対処することが可能です。

相槌を多めに入れる

「なるほどですね」や「はい…はい…」などの相槌や頷きの動作を多めに入れることで、候補者は自分の話を聞いてもらえている実感=会話をできている感覚を得やすくなります(相手に気づいてもらいやすくするために、少し大げさに相槌を入れることをお勧めします)。

Web面接における見極めのポイント

「どんな質問をしてどのように評価するのか」は対面面接とWeb面接に違いはありません。

ただ、Web面接には視覚や聴覚に頼った評価が難しくなる特徴があるため、

  • 画面越しの表情が暗い
  • 声に覇気を感じられない
  • 声が小さくて元気がない

などの理由で、安易な低評価をつけることのないように意識することを推奨します。

Web面接では見た目・話し方・印象による直感的な評価は適さないという認識の元に、話の中身(質問の回答内容)にフォーカスした評価をするようにしましょう。

直感に頼らない意味においては、難易度は高くなりますが構造化面接に挑戦するのも手です。興味のある方はGoogle re:Work(リワーク)が提供している情報を参考にしてみてください。

<参考>
・Google re:Work – ガイド: 構造化面接を実施する

“こと採用に関しては、直感を信じてはいけません。初対面の相手に対してとっさに下す無意識の判断は、自分の中にある無意識の偏見や信念に強く影響される、という調査結果があります。たとえば面接の場合、知らず知らずのうちに、応募者の精緻な能力を評価することから、自分が感じた応募者の第一印象が正しいと確認できる証拠探しに意識が切り替わるのです。心理学者はこれを確証バイアスと呼んでいます”

Web面接における口説きのポイント

面接では、会話を通じて相手の反応を確かめながら「この方には自己成長に関する情報提供が刺さりそうだ」と、当たりを付けた上で口説き(動機付け)を行うものです。

しかし、こちらの話が相手に伝わっているのかの感触を得づらい難点を持つWeb面接では、会話を通じて相手の反応を確かめることが難しく、口説きの難易度が高くなります。

ゆえに、Web面接で口説きをする際は事前アンケートを実施することで「この方には自己成長に関する情報提供が刺さりそうだ」と、前もって口説きの内容に当たりを付けた状態で面接に臨むことを推奨します。

事前アンケートで取得すべき情報は、抽象的には「自社のどんな情報を伝えれば候補者を口説けるか?」の正解、またはヒントになり得る情報です。

事前アンケートの設計に悩まれる場合は、専用の採用ツールを活用することをお勧めします。

<参考>
・最新のテクノロジーで企業の採用活動を支援する「HRアナリスト」

専用の候補者アンケートを実施すると、そのアンケート結果を分析し、適切な採用設計、面談・面接方針、コミュニケーション方針、志望度を上げるトピック、自社のアピールポイントなどの具体的な採用手法や、相性の良い面接官・リクルーターの選出といった相性分析などの採用戦術を提案する採用支援ツールです。

6. Web面接のトラブル対応

Web面接の開始時間になっても候補者と繋がらない場合

候補者側で通信トラブルが起きている可能性があるので電話連絡をしましょう。事前に「面接当日に通信トラブルによりWeb面接に繋がらない場合は、こちらの電話番号に連絡をお願いします」と伝えておくとスマートです。

音声や映像の問題が改善しない場合

音声が聞こえづらい(途切れ途切れに聞こえる)場合や映像が固まる場合などは、まずはPCやスマートフォンなどのデバイスの問題を疑います。

「他のアプリケーションを起動されている場合は、それを落とすことで状況が改善することがあるので試していただけますでしょうか」と、お願いをしてみましょう(CPUやメモリの負荷を減らすことで改善する可能性があります)。

この対応で状況が改善しない場合は通信環境の問題を疑います。判断が分か れるところではありますが、カメラの接続を切ることを推奨します。そうすることでWeb面接にかかる通信量を大きく減らすことができ、低速のインターネット回線でも通信が安定するようになります。

この対応でも状況が改善しない場合は、音声通話が絶対的に安定する電話回線を使った電話面接に切り替えるのも良いでしょう。

候補者の自宅のインターフォンが鳴った場合

予期せぬトラブルは候補者に大きなストレスを与えます。候補者のパフォーマンスを引き出す観点においては「面接は一旦中断しますのでインターフォンに出ていただいて大丈夫ですよ」と優しく伝えてあげることをお勧めします。

また、こういった配慮が自社の印象を良くすることにも繋がることは覚えておいて損はありません。

まとめ

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響を契機にビジネスの常識や慣習は総見直しを求められています。

もちろん、採用活動も例外ではありません。

対面面接がなくなることは考えづらいものの、Web面接が急速に一般化していく流れの中、気づけばWeb面接が主流になっている。そんな日がそう遠くない未来に訪れるでしょう。

「その来るべき日に今から備えをしよう」。

そんな考えをお持ちの方々に対して『Web面接の導入・実践ガイド』がお役に立てれば何よりです。

※ちなみに、高速大容量通信を実現する5G(第5世代移動通信システム)やVR(仮想現実)・AR(拡張現実)技術の進化によって、対面面接と遜色のない(あるいは、それ以上に優れた)Web面接が実現する可能性はありますが、それはおそらく少し遠い未来になりそうです。

著:池田信人 編:熊谷豪

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