メンタルヘルスの不調による社員の離職や退職に頭を悩まされている経営者・人事の方の声をよく聞きます。
近年、20代から30代中盤の若年層の離職理由でもっとも多い理由が、「メンタルヘルス面の不調」となり、次いで「人間関係の不満」となっています。
新卒採用、中途採用ともに採用には、経営面では見逃せないお金が動いています。更に、メンタルヘルスの不調により人が減ってしまうことで、さらに採用にお金をかけねばなりません。また、近年では採用活動自体の難易度が上がっており、簡単に人を採用できないという環境にもなってきています。
経営者の判断としては、新しく人を採用することよりも、今いる社員に長く働いてもらうためにはどうすればいいのかというのが、目前の課題となるのではないでしょうか。
目次
社員の方がこんな不調のサインを出していませんか?
ストレス反応は、認知、感情、行動、身体の問題として現れます。
認知の問題
- 他責的な考え
- 悲観的な考え
- 集中力の低下
- 判断力の低下
- 決断の先送り
感情の問題
- イライラ
- 怒り
- 不安
- 憂鬱
行動の問題
- 遅刻や欠勤
- 攻撃的な言動
- ミスを多発させる
- コミュニケーション回避
- 問題からの回避
身体の問題
- 睡眠トラブル
- 食欲の変化
- 原因不明の胃痛
- 原因不明の頭痛
- 原因不明の肩こり
- 原因不明の動悸
もし、このような社員の方がいらっしゃるようであれば、早めの対処が必要です。
「メンタルヘルス面の不調」の離職者を減らすためには、以下の2点へのアプローチが必要になります。
- ストレス耐性の高い人材を採用すること
- 自社の環境を改善や人材へのケアをすること
今回はストレス耐性の高い人材を採用するためにという点にフォーカスを当てていきます。
ストレス耐性とは
よく「あの人はストレス耐性があるね」といった表現がされますが、ストレス耐性とはどういったものなのでしょうか?
ストレス耐性とは、「自分にかかってくる問題や課題、プレッシャーをうまく整理対応できる力」のことを指します。
人によりこの力が強い弱いという個人差があります。
まずは、先天的な特性です。問題に対して気にする人もいれば、鈍感な人もいます。これ自体は個人差として問題ありませんが、気にしすぎる、鈍感すぎると働く上では障害になる可能性があります。その上で、後天的にストレスを整理対応できる力があるかどうかで、耐性がある、ないというのが分かれていきます。
先天的なストレス耐性
直前にも書いた通り、ストレスを受け流す特性を持った人もいれば、ストレスを真っ向から受け止めてしまう特性を持った人もいます。
産業医やカウンセラーの方が採用面接をおこなうことは無いため、このような特性というのは、採用における面接や面談では見抜くことは非常に難しいでしょう。
よって、適性検査などを活用し、ストレス耐性のある特性なのかどうかを確認する必要があります。
後天的なストレス耐性
後天的なストレス耐性は、比較的に過去の行動特性をヒアリングすることでわかることも多いですが、面接官が特殊なトレーニングをしている必要があります。
よって、後天的なストレス耐性についても適性検査を利用していただくことが好ましいと思います。
適性検査で何をチェックするのか
適性検査の種類によっては、以下のような項目をチェックすることができます。
現在のストレス状態
ストレスによって身体的または感情的な反応があらわれているかどうかをチェックします。一般的な適性検査では、ストレス状態を程度で表すことが多いです。
職場での満足度
職場環境や職務内容に対しての不満などをチェックします。現在のストレス状態が良好でも、不満を抱えていると、いずれ身体的または感情的な反応があらわれる可能性があります。
ストレスを感じやすい性格・特性
先天的なストレス耐性でも書いた通り、人には変えることのできない性格や特性というのがあります。「職場での満足度」「ストレスの対処方法」「ストレスの緩和力」というのは、環境を変えることや研修などで改善が可能ですが、性格や特性などは一朝一夕に変えられるものではありません。
例えば、『HRアナリスト』で提供している交流分析では、このような性格や特性を洗い出すことができます。
ストレスの対処方法
ストレスへの対処方法を持ち合わせているかどうかで、ストレスを受け流すことができます。
例えば、
- 気晴らしの頻度
- 問題への積極的な対処の頻度
- 周りへの相談の頻度
- 問題から目を背けない頻度
- 諦めずに問題に取り組む頻度
といったことをチェックします。
ストレスの緩和力
さらに、ストレス緩和に紐づく力を持っているかどうかで、ストレス耐性は変わってきます。
例えば、
- 周囲との調整力
- 周囲から助けを得る力
- 自己評価の高さ
- 自己評価の安定性
といった項目をチェックします。
まずは、こういった項目をチェックすることでストレス耐性が高い人材なのかどうかをチェックしてみてはいかがでしょうか。